04.05.00:38
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01.18.16:13
今年からは、ストールはやめて、シャツにベストにしよう。ネイビーのシャツに少しタイトなカーキのベストなんて恰好いい。そして、知的な振りをしよう。なりきるんだ、パトリック・ジェーンに。 メンタリスト……。 それは人の心を読み、暗示にかけるもの。 思考と行動を操作するものである。 このナレーションから始まる、アメリカの人気ドラマ「メンタリスト」の主人公、パトリック・ジェーンのことである。 サイモン・ベイカー演じる、ジェーンは、容姿端麗、頭脳明晰、でもちょっと仲間にすら嫌味なことも言う。ボスであるリズボンは、ジェーンに振り回され、よくため息をついている。 ジェーンは昔、霊能者の振りをして、TVで荒稼ぎしていた。メンタリスト故に、依頼者の潜在意識を見抜き、霊能者の振りが出来たわけだ。 だが、霊能者として、有名になりすぎたのか、レッド・ジョンと名乗る殺人犯に家族を惨殺されてしまう。 ジェーンの目的はただ一つ。警察に協力して、自分の手でレッド・ジョンを殺めることだ。 自分がインチキ霊能者をしていたから、霊の存在を否定する。 「あなたサイキックなの?」 自分しか知らない事実を言い当てられた容疑者が言う。 「サイキックなんて存在しない」 ジェーンのこのセリフが最高だ。 日本で言うところの、「ガリレオ」の湯川学といったところだろうか。福山さんばりに、男から見ても恰好いい。 ジェーンは、容疑者の嘘をすぐに見抜く。それも確実に。少しの変化や特徴から見抜くのである。 「彼は犯人じゃない」 ジェーンが言ったら、絶対そうなのだ。 昨夜、久しぶりに長電話をした。 電話の相手のことはよく知ってる。ドМの女性で怒られたいことを望んでいる。たまに嘘をつき、頭の悪い振りをしているが、実はそうでもない。そして目的を達成するためなら、是が非でもやり遂げるという精神も持っている。 昨夜の電話でも彼女は嘘をついた。俺は少しの変化から嘘を見抜いた。まるで俺はパトリック・ジェーンだ。彼女は白状し、俺はそのことを怒った。 電話を切ったあと、俺はさらに酒を飲んだ。飲みすぎたのか、頭がグラグラする。 「なんかおかしい。彼女がそんなイージーミスをするだろうか」 ふとそんな思いが頭を過った。 もしかして、彼女はわざとヒントを出し、俺が嘘を見抜いたようにみせかけただけじゃないのか。嘘がバレると俺が怒ることまで想定していたのではないだろうか。 俺に怒られたいがために……。 俺はパトリック・ジェーンなんかじゃなく、ただ彼女の手のひらで踊らされているだけだったようだ。 そう言えば、彼女に言い忘れていたことが一つあった。 君の心の傷、父親が原因だよね? PR
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01.11.00:26
毎年、正月に東京から同級生が帰省するのを機に、小学校時代の友人と集まる。特に店は決まってないのだが、今年は、街中の温野菜に行った。正月ともあって、店内はすごい人で賑っていた。おそらく満席で予約していなければ、入れなかっただろう。 席に着き、食べ放題・飲み放題メニューを選択する。120分だそうだ。最初のドリンクが来て、久しぶりの再会を乾杯する。やがて、食べ放題メニューの鍋の材料が運ばれてきた。少量の肉と野菜がお皿に幅広く乗せられている。当然、すぐに追加注文をする。だけど、なかなか来ない。きっと忙しいのだろう。しばらく待ってみる。我々は会話をし、店内の賑やかすぎる声をBGMしようとしてみるが、無理なことに気が付く。 しかし注文の品は来ない。空腹は怒りを助長させるのだろうが、我々は怒ったりはしない。が、やがて食べ放題・飲み放題と時間の関係を考えるようになる。120分と制限されているのに、いくら注文しても持ってくることがないのだから。明らかに、客と店員の数が釣り合っていない。 やがて、イライラが募り、我々の一人が店員を呼びつけ、このことを告げる。きっとバイト君だったのだろう、すぐに引っ込み、店長が来た。 「お待たせして、申し訳ありません。90分延長させていただきます。それで宜しいでしょうか?」 90分!? あ、ありがとう……。 待たされたとは言え、いい対応だった。 そういえば、以前付き合っていた相方さんと食事しに行った店で、すごく待たされたことがあった。温野菜と似たような鍋屋さんだ。 寂れた商店街の入り口にその店はあり、以前から気になっていて、なにかしらの拍子に行くことになった。予約はしてなかったが、すぐに席に通してくれた。大広間の一角の席に通されたが、横には団体客が宴会をしている。 ドリンクとすぐに出てくるものを注文してみる。(確か、トマトスライスだったと思う) ドリンクはすぐに届いたが、食べ物は来ない。いくら経っても来ない。 「お待たせしました、枝豆です」 だけど、俺は枝豆を注文していない。 「頼んでないよ」というと、「そうですか」と枝豆を引っ込める。 「お待たせしました、枝豆です」 今度は、別の店員が枝豆を持って来た。 「頼んでないよ」というと、「そうですか」と枝豆を引っ込めた。 気が付いてないだけで、実は枝豆を頼んだのかもしれない。ふとそんな思いも浮かんだが、俺は決して枝豆を頼んでない。なんだ、この店と思うよりも先に、店員がやって来た。 「お待たせしました。枝豆です」 また違う店員がそう言う。 「もう、そこに置いてくれ」 俺はもう諦めるしかなかった。 ふと、大広間の入り口に目を移せば、汚れた皿、箸などが大量に積まれている。この店は機能してないんだなと、思った。 食べ放題・飲み放題とかではなかったと思う。寄せ鍋だったはずだ。遅いなりにもそれなりに食べ、半ば満腹だと自分に言い聞かせた俺たちは、締めにうどんを頼もうと思った。 無くなったわけではないが、出汁が必要だった。 俺たちは出汁を注ぎ足してくれ、と伝えた。 「分かりました」 と店員は言う。 どうせ待つんだろ? 分かってるさ。時間の経過と共に満腹度が増してはいくが、そんなことは計算してあるよ。そんなに頼んではなかったろ? しかし、店員が出汁を注ぎ足しに来ることはなかった。いつでもうどんが来る準備が出来ていた鍋に、何も入ることなく、出汁はすべて蒸発してしまった。 呆れた俺たちは、うどんを食べることなく、店を後にしようとレジに向かった。伝票はない。きっと向こうが管理するシステムだ。 お金を払おうとすると、 「なに頼まれましたっけ?」 レジの女性店員が俺たちにそう言う。 嘘でしょ。把握してないの? 仕方なく、頼んだものを告げると、テーブル自体で頼んだものは管理していたらしく、理解していたようだった。 俺たちが店を出ようとした瞬間、彼女は驚くべきことを言った。 「お見送りしますね」 嘘でしょ。そんな時間があったら、もっと店を回すんだよ。 彼女はわざわざ1Fまで下りて来て、(店は2Fだった)俺たちを笑顔で見送ってくれた。 「二度と来ませんよ」 笑顔で俺はそう言った。 もう二度とは来ないし、きっと、このままでは店は潰れてしまうだろう。誰でも想像がつく。 やっぱり、その店は閉店した。きっと味や立地条件じゃないんだよな。味はそんなに悪くなかったし、雰囲気も良かった。でも、店として機能していないんじゃ、仕方ない。 その後の店舗には、温野菜がさり気なく入った。今も変わらず君臨しておられる。 |
